プロダクトマネジメントにおける優先順位付けとそれを助けるツールについて

我々の時間は有限である。
すべての機能は有用であるようにも思えるし、みんなの言い分もそれぞれだ。

さて、僕はプロダクトマネージャーではないが、何事においても優先順位付けは必要だ。
無意識で出来る人もいるだろうが、僕にはあいにくそのような能力はあまり持ち合わせていなかった。

hygger.io

hygger.io というサービスをご存知だろうか?

いや、きっと知らないと思う。僕もつい最近まで知らなかった。

でも Trello というサービスなら知っている方も多いと思う。

知らない人のためにも説明しておくと、いわゆるカンバン形式でタスク管理出来るツールが Trello だ。

そしてこの Trello に優先順位付けの機能を強化させたものが hygger.io と言えそうだ。
もちろん、細かい機能の差異はあると思うが、自分が少し使った感覚としてはそうだった。

hygger.io にも Trello ライクなカンバンViewはあるが、それぞれのタスクに対してスコアリングができる。
スコアリング方式は下記の4種類から選べる。

  • Value vs Effort(価値vs労力)
  • Weighted Scoring(加重スコアリング)
  • ICE(Impact, Confidence, Ease)
  • RICE(Reach, Impact, Confidence, Effort)

Value vs Effort(価値vs労力)

それぞれのタスクに Value(価値) と Effort(労力)を設定し、4つの枠のマトリックスから優先順位をつける。

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Quick Wins は少ない労力で高い価値をもたらすもの。これを最初にやるべき。
Big Bets は価値も高いが、労力も多い。2番めにやるべきかもしれないが、小さな機能に分割してもいいかもしれない。
Maybes は価値も労力も低い。大きな機能実装の合間にやるのに最適。
Time Sinks は労力の割に価値が低い。優先付けすべきではない。

Weighted Scoring(加重スコアリング)

Value(価値) と Effort(労力)にそれぞれ独自の基準を設けてスコアリングする。
項目と加重をあらかじめ設定しておき、最終的なスコアを計算して算出する。

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上記の例では Value として

  • Revenue Increase(収益)
  • Customer Value(顧客価値)
  • Strategic Fit(戦略の適合性)

Effort として

  • Development Costs(開発コスト)
  • Marketing & Sales Costs(マーケティングと営業コスト)
  • Maintenance Costs(保守コスト)

を基準として設定している。(キャプチャ画像では一部幅が足りずで見切れています)

ICE(Impact, Confidence, Ease)

スコアの計算式は Impact * Confidence * Ease

基本的には Value(これはImpactとほぼ同義) vs Effort(これはEaseとほぼ同義) と同じだが、 Confidence が加わっている。

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労力は過小評価されがちで、価値は過大評価されがちという認知バイアスがあるため、
Confidence(信頼性)で、労力や価値にどれだけの信頼性があるのかを加味している。

RICE(Reach, Impact, Confidence, Effort)

スコアの計算式は (Reach * Impact * Confidence) / Effort

Reach は特定の期間内にどれだけの人に影響するか?

Impact はこの機能がどのように貢献するか?どのようにエンドユーザーに影響を与えるか?
この価値はサービスごとに違うのであらかじめ決めておく必要があるし、
これを測るのは容易ではないので、あらかじめ 3: 大規模なインパクト, 2: 高, 1: 中, 0.5:, 0.25: 最小 などと決めておくのが良い。

Confidence は Impact と Effort に対する信頼性。

Effort は 人月などのいわゆる工数

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monday.com

さて、ここまで hygger.io というサービスに備わった優先順位付けを見てきたが、他のサービスはどうしているのか少し気になった。

monday.com というプロダクト/プロジェクトマネジメントに使えるサービスがあるので、これもちょっと試してみた。

このツールでは優先順位付けのためのあらかじめ決められた機能というものはなさそうだったが、
デフォルトで用意されているテンプレートの中から Feature Backlog というものがあったのでそれを試してみた。

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左から4番目の Effort はいわゆる工数で、
5番目の Impact は価値
6番目の Effort も労力なので、Scrumのストーリーポイント的なものなのかもしれないが、ちょっとよく分からなかった。 どちらかを使えっていうことなんだろうか。
7番目の Impact AreaImpact がどこに効くか?ということだろうか。
8番目の Epic# はタスクをまとめるためのタグみたいなもの。
9番目の Vote は投票。

ただし、あくまでこれはテンプレートなので、自分でエクセルの様にカラムを追加することもできる。
例えば計算式用のカラムを追加し、上述のICEやRICEの計算式を定義しておけば、それらのスコアを表示する事もできる。

まとめ

ツールに実装されているものを参考にどのような優先順位の付け方があるのかを調べてみたが、
結局の所、価値や労力をどのように算出するかは難しい。

しかし、そのためにより細分化したり、どのような要因があるのかを知るきっかけになったり、
ツールとしてあらかじめ枠を定義しておくことで、必ずそれらの機能が、どのような価値や労力があるのかを考えねばならず、 それらは非常に有用だと思った。

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